火山の大噴火による危機
地球誕生以来、火山と地震による甚大な被害は過去何度も起こっている。火山の噴火が人類また地球上の生物を絶滅させたことも何度もあったはずだ。有史以来、さまざまな火山の噴火を経験してきた人類だが、この自然の猛威に対してはなす術はない。たったひとつの火山の噴火でも人類を危機に陥れることは充分に考えられるのだ。大噴火は噴火による直接被害だけでなく、その後の地球環境に与える影響も大きく、深刻な事態を長い時間にわたって招く。もし、噴煙が地球規模で広がると被害は最悪の場合、地球の気象を一変させ、冷害そして小氷河到来への引き金にもなりかねないのだ。
日本では、いま富士山の火山が危ぶまれている。実際いつ噴火してもおかしくない時期にきており、いまや噴火は時間の問題といわれている。富士山噴火を想定しハザードマップの作成も行われているが、日本一美しい富士山を噴火の対象としてみるのはなかなか難しい。もし噴火すると首都圏はもちろん、日本全土に甚大な被害を及ぼすことは想像に難くない。
8月7日午後10時8分、群馬と長野にまたがる浅間山で小規模な噴火があった。噴煙は上空1800メートル以上まで達して北へ流れ、火山弾あるいは火山岩塊(噴石)は火口から200メートルほど飛散したという。気象庁によると、この火山では常時観測を行なっているものの、明瞭な予兆現象は認められなかった。最近では、戦後最大の火山災害となった2014年の御嶽山噴火や、草津白根山の噴火でも、噴火の前兆となる活動は捉えられなかった。特にこのような水蒸気噴火は、突然起きる場合が多い。
今後の推移を見守りつつ、特に近隣住民の方々は十分な備えをお願いしたい。一方で、この火山が過去に近隣のみならず広範囲に被害を及ぼした噴火をしていることを、火山大国に暮らす私たちは忘れてはならない。
1783年の天明噴火
明治時代に観測が開始されて以来、2000回を超える噴火が記録されているこの活動的火山が大暴れしたのは、江戸時代の天明3年(1783年)である。この大噴火の前には、1721年、1775年と噴火を繰り返し、火山弾(噴石)の直撃を受けて死者が出たほか、降灰により農作物にも大きな被害がでた。
そして1783年5月9日昼前に噴煙が立ち上がり、火山灰が主に東方向に降り積もった。その後1ヶ月ほどは比較的静穏であったようだが、7月17日夜に大噴火が始まり、火口から北に10キロメートル近く離れた嬬恋村鎌原でも軽石が10センチメートルほど降り積もった。25日には噴火の勢いはさらに強まり、断続的に高い噴煙柱が立ち上がり、降灰は江戸でも認められた。8月4日の夕方から翌日の未明にかけて噴火はクライマックスに達し、17時間にわたって大量の軽石や火山灰を東南東方向にもたらした(図)。この時の噴煙柱は高度約1万8000メートルにまで達したという。
立ち上がった巨大な噴煙柱は、マグマや火山ガスの噴出スピードが低下してくると柱を維持することができなくなり、大崩壊して火砕流が発生する。天明噴火でもこの噴煙柱崩壊が起こり、主に北東山麓に向かって流れた「吾妻火砕流」は、山林を焼き払いながら山頂から約8キロメートルの距離まで到達した
浅間山の1783年天明噴火による噴出物と洪水被害(巽原図)
鬼押出溶岩の流出と鎌原火砕流・岩屑なだれの発生
この激しい噴火では、火山岩塊などの大きな噴出物が火口周辺に落下した。そして岩石の内部がまだ高温であったために、これらの岩塊はできたての餅のようにペチャペチャとくっついて「溶結」してしまったのだ。やがてこの溶結部の厚さが増すと再流動が始まり、溶岩流となって浅間山の北斜面を流れ下った。これが観光地で有名な「鬼押出溶岩」である
鬼押出溶岩は8月5日には、当時の浅間山の北側山腹にあった「柳生沼」へ流れ込んだ。この時に、高温の溶岩流が水と接したことでマグマ水蒸気爆発が起きたのだ。この爆発音は遠く京都まで聞こえたという。この爆発で吹き飛んだ岩塊は、粉々に破砕された岩片や水蒸気と渾然一体となって「鎌原火砕流」が発生した。この火砕流は火山体を作っていた比較的脆弱な石や土砂を削り込みながら流れ下ったために、岩屑なだれも同時に発生した。
鎌原火砕流・岩屑なだれは、10キロメートル以上離れた鎌原村を襲い、一瞬にして村全体を埋めつくした。この村のほぼ全員、466名が犠牲となった。さらにこの火砕流・岩屑なだれは吾妻川の渓谷に滝のように流れ込み、高温の土砂と水が混じった熱泥流となって流れ下り、ついに下流の利根川に流入して下流一帯に大きな洪水被害をもたらした(図)。死者は約1000人にも及んだとされている。この泥流は4日後の8月9日には千葉県の銚子に到達して、太平洋に流れ出た。
天明の大飢饉
この浅間山天明噴火の被害は、火砕流や岩屑なだれ、それに泥流による直接的なものだけで済まなかった、噴き上げられた火山灰や火山ガスの影響で日射量が減少し、東北や関東地方では冷害のために農作物は壊滅的な打撃を受けた。アイスランドのラキガル火山の大噴火による影響も加わり、「火山の冬」と呼ばれる現象が起きたのだ。そしてこれが引き金となって近世日本で最大の「天明の大飢饉」が発生した。一説によるとこの大飢饉による死亡者は数十万人にも及ぶという。当時の日本の人口は約3000万人とする推定に基づけば、日本人の約1%が餓死したことになる。
昨日の噴火がここで紹介した天明噴火のような大噴火・大災害に至るかどうかはわからない。しかし、私たち日本人は、このような危険な火山と共に暮らしていることを忘れてはならない。
まるで富士山を思わせるメキシコのポポカテポトル火山、雪をかぶったなだらかな姿は驚くべきほど似ているではないか。メキシコ市の南東約55キロにあるそのポポカテペトル火山が14日夜、噴火を始め、当局によると、灰は約4キロ上空まで舞い上がった。灰は周辺の三つの町に到達し、溶岩が山の斜面を流れ落ちた。これは富士山噴火の前兆!ではないか?
地元当局は警戒レベルを上げて火山の周囲12キロ以内を立ち入り禁止にし、住民の避難ルートや避難場所の確保に努めている。(2013/05/16-12:13)
中米グアテマラ南部のフエゴ火山が13日に噴火し、当局が住民約3万5000人を避難させた。同国の赤十字の広報がCNNに明らかにした。
スペイン語で「炎の火山」を意味するフエゴ火山は古都アンティグアの近くにあり、標高3763メートル。現地時間の同日午前10時ごろに噴火が始まり、午後遅くまで噴煙を吹き上げ続けている。
火山から20キロ圏内の住民はバスや自家用車で避難し、それぞれ約200人を収容できる避難所が10カ所設置された。避難した住民の大半は友人や親類のところに身を寄せている。
火山灰は40キロ離れた地点にも到達し、数人が呼吸器系の症状を訴えて仮設診療所で手当てを受けた。1人は重体で病院に運ばれた。
別の赤十字関係者によれば、空き巣の被害に遭うことを恐れて避難せず、自宅にとどまっている住民も多数いるという。
専門家によると、フエゴ火山は中米で最も活動が活発な火山の1つ。噴火は今年に入って6度目だが、今回は最も規模が大きい。(CNN2012年9月14日)
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巨大地震世界最大級の火山が爆発
ジュセリーノの火山大噴火に関する予言
現在、世界には1530の火山があると言われている。そのうち560は陸地にある火山で、残りは海底火山だ。これらの山では長期にわたって、噴火が増加している。そのため、地球の一部地域、例えば、アラスカ、アイスランド、インドネシア、エクアドル、日本、イタリア、メキシコ、アフリカでは、噴火活動の監視が継続して行われている。日本では、警戒を要する火山が五つあるという。以下、世界で起きるおもな火山噴火を挙げていこう。
・2022年11月1日から25日のあいだに、カナリア諸島でクンプレ・ビエバ火山が噴火し、連鎖反応で大津波を引き起こして、数百万人の死者が出る
・2019年10月6日、ニュージーランドのルアペフ火山で噴火が連鎖的に起きる
・2020年、メキシコのポポカテペトル火山で噴火が始まり、数千人の死者が出る
・2021年5月23日、米ワシントン州南東のセントへレンズ火山が噴火し、数千人の死者が出る可能性がある
・2022年、メキシコのエルチチョン火山で噴火が始まり、記録された中でも最悪の被害をもたらす
・2027年、米イエローストーン国立公園の火山で大規模な噴火が起きる
・2035年12月22日、コスタリカのリンコン二デ:フ・ビエバ火山で大規模な噴火が始まる
・2037年4月13日、ハワイのキラウエア火山が大災害を引き起こす
・2038年9月17日、南米プレートに大きな動き。海底噴火が巨大な津波を引き起こし、ブラジル北部に甚大な被害がおよぶ
・2039年6月18日目、コロンビアのネバドデルルイス火山が噴火、最低でも七万人の死者が出る
・2041年6月、フィリピンのピナツボ火山が噴火、数千人の死者が出る可能性がある
・2042年、イタリアのローマで活動を停止していた火山が再び大規模な活動を始めて、数千人から数百万人単位の死者が出る可能性がある
・2043年7月7日、地殻大変動によりニカラグアのセロ・ネグロ火山で噴火が始まり、
数千人の死者が出る可能性がある
火山の大噴火 |
- ■海外の大噴火の記録
- 約7万4000年前 スマトラ島のトバ火山。ここ10万年(200万年?)では最大級の噴火。トバ湖はこの噴火で生じたカルデラ湖。
- 紀元前1600年頃 エーゲ海のサントリーニ島。
- 79年 古代ローマ、ヴェスヴィオ火山。ポンペイが埋没。
- 1783年 アイスランドのラキ火山。
- 1814年 フィリピン・ルソン島のマヨン山。ふもとの街で1,200人の死者。
- 1815年 インドネシア・スンバワ島のタンボラ山。9万人以上の犠牲者。
- 1902年 西インド諸島・マルティニーク島のプレー山。火砕流がサン・ピエールの町を襲い32,000人あまりが死亡。
- 1919年 インドネシアのケルート山。ラハールが発生し5,100人の死者。
- 1930年 インドネシア・ジャワ島のムラピ山。約1,300人の死者。
- 1965年 フィリピンのタール山。噴火時のベースサージによって約2,000人の死者。
- 1980年5月18日 アメリカ合衆国のセント・ヘレンズ山。山体崩壊。
- 1985年11月13日 コロンビアのネバド・デル・ルイス山。死者21,500名。
- 1991年6月 フィリピンのピナトゥボ山。20世紀最大規模。
■日本の大噴火の記録
- 685年 浅間山
- 1596年 浅間山
- 1640年 北海道駒ヶ岳の噴火で山体崩壊。
- 1707年 富士山(宝永噴火)
- 1741年 北海道の渡島大島で寛保岳が噴火。津波災害を起こす。
- 1783年 浅間山(天明の大噴火)
- 1792年 雲仙普賢岳の噴火と山体崩壊。
- 1902年 鳥島が噴火し島民125名が全滅。
- 1914年 桜島噴火で大隅半島とつながる。
- 1915年 焼岳噴火で梓川をせき止め大正池ができる。
- 1944 - 1945年 有珠山噴火で昭和新山ができる。
- 1946年、1952年 明神礁(海底火山)の噴火。一時、島が出現。
- 1977年 有珠山
- 1979年 御嶽山で水蒸気爆発。
- 1983年 三宅島
- 1986年 伊豆大島三原山、全島避難。
- 1989年 伊豆半島伊東市東方沖海底で噴火。
- 1991年 雲仙普賢岳、平成新山ができる。
- 2000年 有珠山、三宅島で全島避難。
- 2004年 浅間山
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火山の噴火に関するリンク集 |
東日本巨大地震 地震連鎖が日本列島を襲う
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